商売繁盛で笹持ってこい、とは恵比寿神社で有名なフレーズ。毎年1月9日から11日までの三日間を十日戎と称し、商売繁盛を願う人々で賑わいます。
関西では通称えべっさんとして親しまれているこの神様は、傍らに抱える鯛からも判るように元来は海の神様です。しかし足が悪い神様なので、そのことから語呂合わせで「おあしがでない」という意味から商売繁盛の神様として慕われるようになりました。
商売繁盛の神様は恵比寿様だけではありません。日本には他にも多くの商売の神様が存在します。
人々がこうした神様に願掛けに訪れるようになったのはいつごろからなのでしょうか。
商人は平安の昔からいましたが、商人文化と言われるほど繁栄したのは江戸時代と言ってよいでしょう。
天下泰平で武士は存在したものの実質的な仕事は無く、士農工商としての身分は低いながら裕福な暮らしをしていたのが商人です。
士農工商で身分が決められていたのはむしろ商家にとっては都合の良いことでした。現在のような完全な自由競争社会ではありませんので、突如としてライバルが台頭するようなことがなく、かたく商売をしていれば代々に店を継いでいくことができたのです。
それゆえに商売を大切にし、豊富な財力を寺院に寄付してメリットを得ることもありました。
また商家には必ずと言ってよいほど神棚があります。このことからも、商人文化と神様文化の繋がりの深さが伺えます。